受動型アスペルガーASDとは何か?大人の男女差の特徴
世の中にはアスペルガーASD(自閉症スペクトラム)の解説は多いですがまだまだ子供についての記事も多く大人のアスペルガーASDについての情報は多いとは言えないと思います。
そこで大人のアスペルガー当事者としてできるだけわかりやすく分析考察をしていきたいと思います。
子どもの受動型アスペルガーASD(自閉症スペクトラム)の特徴
まず大人の受動型アスペルガーASDの前に一般的に語られている子どもの受動型アスペルガーの特徴について、他の積極奇異型アスペルガー、孤立型アスペルガーとの比較をしている文章を引用します。
自閉性が少ないアスペルガー症候群になると、「普通」との境界は極めて曖昧になってくる。ローナ・ウィングら(1979)の分類でいう「孤立型」という他者との接触を避ける状態は理解できるが、おとなしく他者から働きかけられればそれなりに関係が持てる「受動型」になると理解出来にくく、他者に積極的に話しかけて行くが、その仕方が(相手のことを考えておらず)極めてユニーク(奇妙)である「積極奇異型」になるとそれが自閉症であるということがどうしても理解できないというのが一般的な印象のようである。
一人でいることを好むタイプもいれば(孤立型)、反対に、積極的に人と関わろうとするタイプもいます(積極奇異型)。他人からのアクションがあれば応じるが、自分からは他人と関わろうとしない受動的なタイプもおり(受動型)、その特徴は人によりまったく異なります。また、年齢が進むとともに特徴が変化していくこともあります。
大人のアスペルガー症候群とは?対人関係やコミュニケーションはどうする?職場での困りごととは?家族や同僚の関わり方などを解説しますーLITALOCO仕事ナビより引用
子供の受動型アスペルガーASDでは他人から来たら応じるが自分からは行かないという特徴があるとされています。
大人の受動型アスペルガーASD(自閉症スペクトラム)の特徴
私が受動型アスペルガーASDについて研究しているうちにある程度のパターンが見えてくるようになりました。
では話の前にまず以下の文章をお読みください。
扁桃体の発達の遅れは2タイプあります。
1つ目は、他人の感情を理解するよりも自分の感情が優先される発達タイプ。他人の内面を推測する働きが弱く、自分の感情を強く意識するので、共感性が乏しく、自分本位の思考や行動になりやすく、社会的なトラブルを招きやすい傾向があります。
2つ目は、自分の感情の理解よりも、他人の感情への理解が促進される発達タイプ。他人の目が気になって仕方がないため、自分の感情を表に出すことが少なくなります。社会的なトラブルは少ないですが、外界や他者に過敏であるためストレスがたまりやすい傾向があります。
子どもを伸ばす脳番地トレーニング P.36.37 より引用
このようにアスペルガーには他人の感情よりも自分の感情を優先する他人の感情に鈍感系受動型と、自分の感情よりも他人の感情を優先する他人の感情に敏感系受動型が存在しています。
しかし私が色々研究考察するうちに受動型には自分の感情に鈍感な感情鈍麻いわゆる失感情症(アレキシサイミア)系受動型アスペルガーASDが存在するのではないかと気づきました。
よって私は今受動型は特殊で他の型が2種類なのに対し受動型は3種類存在していると考察しています。
- 他人の感情に敏感な敏感系受動型
- 他人の感情に鈍感な鈍感系受動型
- 自分の感情に鈍感な失感情症(アレキシサイミア)系受動型
そして私は男性の受動型アスペルガーASDには鈍感系受動型が多く女性の受動型アスペルガーASDには敏感系受動型が多いということに気づきました(失感情症系は女性が多いというデータがあるようです)。
男性に多い鈍感系受動型の特徴は外や仕事では我慢をして自己を押し殺して適応をしているので家庭などのプライベートの場では抑えていたストレスを発散するように横柄な態度になりやすいです。
女性に多い敏感系受動型の特徴はとにかく自己を抑えて敏感に他人に合わせるので常にストレスが溜まりやすいといえます。
あまりに自己を抑えすぎストレスが溜まると人と関わるのを辞める孤立型へと移行する人も多いようです。
もちろん必ずしも男だから女だから当てはまるというものではありませんが私が見てきたところかなり多くのパターンが当てはまるように思えます。
ここからは私の憶測ですが孤立型が一番男性的と言われています。そして積極奇異型が一番女性的と考えられます(積極奇異型を女性的と表現するのは違和感もあるかもしれませんがおしゃべり好きや馴れ馴れしく話すなど孤立型と比較すれば女性的ということが出来ると思います)。つまりその中間の受動型は男女の両性的な要素が分かれて出やすいのではないかなと感じています。
なので特に他の型より男性的特徴を強く持った鈍感系受動型、女性的特徴を強く持った敏感系受動型が混在して現れやすいのではないでしょうか(孤立型ならほぼ男性的、積極奇異ならほぼ女性的なのに対して受動型は男性的・女性的が双方現れやすい)。
男性に多い鈍感系受動型アスペルガーASD(自閉症スペクトラム)の特徴
他人への感情の理解は欠如していて実際には空気は読めない他人の感情も理解できないが学校や社会、仕事場で他人の振る舞いを見てそれを真似することで形だけ適応をしたのが鈍感系受動型アスペルガーASDと言えます。
感情を理解する心は成長していないが言動だけは真似て一見して「普通の人」に見えるように成長したのが鈍感系受動型アスペルガーASDということができると思われます。
他人の言動を真似て取り入れるあたり受動型という名前も中々適していると感じます。
本当は感情など理解していないのに理解したふりをして仕事や社会適応のために無理をして本来の自己を抑えているので、その反動でプライベートな場、主に家庭では本来の自分を出し自己本位に横柄に振る舞い家族にストレスを与えることも多いです。これをカサンドラ症候群といいます(正式な医学用語ではありません)。
ここでのハラスメントをモラルハラスメント(モラハラ)といい、暴力以外の暴言などによるハラスメントのことを言います。
モラハラの多くのケースでは自分が他人を傷つけている自覚が欠如しているケースが多いように思われます。
更に外での従順で受動的な態度が一変し自分の価値観こそが正しいというアスペルガーASD特有のこだわりがプライベートでは出てくるのも他人の人格否定をするモラハラになりやすいようです。
これも他人の感情理解に鈍感な鈍感系受動型故の心情だと思われます。
家庭では問題ばかりを起こす鈍感系受動型ですが会社では高評価を得ているケースが多いようです。
そもそも男性がの割合が多いことそして仕事の場、公の場では自己を押し殺して他人に合わせるという受動型の特徴から仕事の評価を受けやすいようです。
鈍感系受動型アスペルガーASDに起きやすいトラブル・問題の特徴
通常の鈍感系受動型アスペルガーASDの場合は他人の感情に鈍感でありながら社会生活に適応するために家庭外では自由に振る舞いたい自己を抑えて形だけ他人の言うことを聞いて適応している分、家庭内というプライベートな場ではその抑えていたストレスや本来の自己が表面に出てきて横柄で尊大な態度になり尊大型アスペルガーと呼ばれるタイプになりやすいと思われます。
そして家族に対し攻撃的になるカサンドラ症候群の加害者に最もなりやすい傾向があるのもこのタイプと考えられます。
一見して普通の人の鈍感系受動型アスペルガーASD
鈍感系受動型アスペルガーASDは1,2を争うアスペルガーASDであると自覚をしにくいタイプであると思われます(他は鈍感系積極奇異型)。
社会生活もできてる、仕事もできてる、評価も得ている、ということから自分がアスペルガーASDであるという自覚を持ちにくいのです。
しかしプライベートでは問題行動を起こし他人の感情を理解できない鈍感系受動型の厄介さが出てきます。
そこでやっと家族がおかしいのではないかと思いアスペルガーASDであるとわかるケースが圧倒的に多いように見えます。
しかし本人にあなたはアスペルガーASDだと告げても「俺を病人扱いするのか」「おかしいのはそっちの方だ」などと言った反応をし認めてくれません。
今まで必死に「普通の人」を真似てきた鈍感系受動型にとっては「あなたは普通じゃない異常だ」という言葉はアイデンティティの全否定になり到底受け入れることができない言葉なのです。
ここが鈍感系受動型の厄介なところです。
まずは本人にアスペルガーASDであると認識させることが難しくさらに問題行動(モラハラ)を改善させるのはさらに難しいでしょう。
モラハラとは離婚が安定とネット上で言われるのも納得してしまいます。
女性に多い敏感系受動型アスペルガーASDの特徴と起きやすい問題やトラブル
一方女性に多い自分の感情よりも他人の感情を優先してしまう他人の感情に敏感系受動型ですが、こちらは公の場であろうとプライベートの場であろうと他人の感情に敏感な点が男性に多い鈍感系受動型との大きな違いと言えるでしょう。
いつでも他人の感情を優先するので自分の感情を抑え続けることになり受動的になりストレスがかかり続けるという問題を抱えています。
敏感系受動型は、過度に自己を抑え他人に合わせてしまうので、他人に振り回されストレスを抱えやすい傾向があるように思われます。
また頼られたり頼まれたりしたことが本当は嫌だと感じていても他人の感情を気にしすぎて断れずに受け入れてしまうということも多いように見えます。
このような特徴から自己中心的な人物に振り回されたり漬け込まれたりすることが多いように見えます。
私にはこの現象はカサンドラ症候群と呼ばれているものと類似しているのではないかと考えています。
嫌なことを嫌だと言えない、自己主張をできない、相手の言うことをきいてしまう、このような敏感系受動型の特徴が、自己中心的な他のアスペルガーの人にとっては都合がいいのでしょう。
また敏感系受動型は相手の感情に敏感なので、相手の気持を考えすぎて気を使い過ぎたり、過度に世話を焼いたりしてしまうのでいわゆる共依存状態になりやすいと思われます。
嫌だと思いながらも相手を拒絶することができないので相手もそこに漬け込んでくるというパターンが多いように見受けられます。
そして相手の感情に敏感なので自分の感情は二の次で行動してしまい自分のストレスが溜まっていることも多いでしょう。
敏感系受動型アスペルガーASDは他人の感情に敏感すぎて他人の言うことを何でも聞き入れてしまう問題があります。
これは表面上は特に問題なくコミュニケーションが出来ているので何も問題ないとも思えそうですが、敏感系受動型の内面では「本当はこうしたいのに他人の目が気になって合わせることしかできない」というストレスを抱えているのが問題となります。
他人の要求や目線が気になり疲れたといって孤立型へ移行するという人も少なからずいるようです。おそらく敏感系受動型が一番ストレスを受けるアスペルガーのタイプだと思われます。
敏感系受動型アスペルガーASDの特徴一覧
敏感系受動型は一般的には人に合わせすぎてしまうというコミュニケーションの問題があるとされています。
特に顕著な特徴は
自分が我慢してでも人に合わせなければいけない
という思いが強いことです(この点が他人に合わせられない積極奇異型アスペルガーと他人に合わせることをやめてしまった孤立型アスペルガーとの大きな違いと言えます)。
私が個人的に特に目立つと思う受動型ASDの特徴は
- 自分が我慢してでも人に合わせなければいけない
- 自分の感情を抑圧して人に合わせる
- 他人の目線を気にしすぎて古い常識や価値観にこだわる
- 感情を押さえつけて他人に合わせ生きてきたので自分の価値観考え方が偏っているということに気づけない
- 他人に迷惑をかけるのが申し訳ないと思っていて自分が苦しくても我慢すればいいと思う
- 我慢してでも他人に合わせることがいいことだと思っているので助けを求められない
- 自分を押さえつけ我慢して他人に合わせるのでわがままで自分勝手な人に振り回されやすい(いわゆるモラハラパートナーの言うことを聞いてしまいカサンドラ症候群になりやすい)
- 異性関係では自分が被害者にも関わらず相手に気を使ってしまい相手に嫌だということが主張できないのでストーカーやDVなどの被害に会いやすい
- 親子関係の場合は自分勝手な親と従順な子どもというケースが目立つ
- 異性関係の場合は自分勝手な異性に利用されやすいが本人は相手に尽くすことがいいことだと思っている
このあたりが私が目立つと思う受動型アスペルガーASDの傾向です。
理性的な敏感系孤立型からの敏感系受動型への意見
受動型は他人の目を気にしすぎて常識や古い価値観、特に倫理や規範にこだわり頑固で、そしてその頑固さが自分を苦しめているのに気づけないというのが大きな問題だと見えます。
例えばルールは守らなければダメだという意識がとても強いです。
そしてそのルールを守れない自分はダメだという自責の念が強いです。
そのルールも自分で自分に課しているルールにもかかわらず、常識だから、当たり前だからと思考停止をして自分を縛り付け苦しめていることに気づけません。
受動型で悩んでいる人はまず自分自身が信じている常識や価値観を客観視して捨てていき自分を縛り付けることをやめることが問題を解決する第一歩になると思います。
自分がこだわっているルールや常識が本当に自分にとって有益なものなのかを考えて不要だと思ったら捨てていくことが重要だと思えます。
受動型アスペルガーASDに起きる問題のスピリチュアル的考察
受動型には同じ問題が何度も起き続きやすいという特徴があるように思えます。
例えば
- 相手が変わっても何度も何度もストーカーをされる
- 相手が変わっても何度も何度もDVをされる
特にこういう傾向が強いと私には思われます。
これを偶然と考えるのは少し無理があるように思われます。
一般的な考えでは従順で自分を抑える受動型のような人は自分勝手な人に利用されやすくつけこまれやすく被害にあいやすいとされています。
自分勝手な加害者が従順な被害者に近づくから加害者をどうにかすれば解決するはずだ。
これは確かに分析としては事実だと思われます。
しかしこうやっても何故かまた前述のように人が入れ替わるだけでまた同じ問題が起きるというループになってしまいます。
ここからは一般的な考えではなくスピリチュアル的な考えになるので受け入れがたい方もいると思いますがこのような考え方もあるのだという感じで別の視点を紹介してみようと思います。
これらのもっと根底的な問題は受動型アスペルガーは
自分が我慢してでも人に合わせなければいけない。
という思いを強く持っているからこそ加害者を引き寄せてしまっている可能性があるとも考えられます。
自分が我慢をするためには自分に理不尽を与える他人がいないとできません。
つまりこの問題のループを断ち切るには加害者をどうにかしようとし続けている限りは相手が入れ替わるだけでまた別の人が同じ問題を持ってくるということです。
被害者である受動型アスペルガーの人が
自分が我慢してでも人に合わせなければいけない
この思いを手放すことで加害者を引き寄せることがなくなると言う考え方もあります。
スピリチュアル的な話と言いましたがこれは普通に考えても納得のできる話ではないでしょうか?
従順な人と自分勝手な人はお互いを補い合っていわゆる共依存と言われる状態になっています。
これを崩すにはどうすればいいか。
自分勝手な他人を変えることは難しいでしょうし現実的でないと思われます。
それに仮にその人を変えられてもまたさらに他の自分勝手な人が現れたらまた振り回されるでしょう。
これを崩すには自分が従順であることをやめることが重要だと思えます。
そうすれば自分の要求を聞いてくれる従順な人を探している自分勝手な人はわざわざ近付こうなどと思わなくなるでしょう。
スピリチュアル的に考えず普通に考えても
自分が我慢してでも人に合わせなければいけない
という受動型アスペルガーに顕著な思いを捨てることが問題解決に重要だとわかるのではないかと思います。
敏感系受動型アスペルガーASDの特徴について最後に
敏感系受動型はとにかく他人に合わせることが良いことだという価値観や常識が強いです。
アスペルガー特有のこだわりの強さを常識を守ることに使ってしまうのが受動型の問題でありストレスの原因だと思われます。
そして常識的になれない自分を責めてしまうというパターンに陥ることが多いと思われます。
いかにこのような不要な思い込みに過ぎない価値観や常識を捨てていくかが特に他人の感情に敏感すぎる受動型アスペルガーの目標となると思われます。
失感情症(アレキシサイミア)系アスペルガーASDの特徴
失感情症系の特徴は自分の感情を自分で把握する力が弱く自分で自分の感情が理解できないところです。
自己の意志が薄いので主体性がなく流されるので相手の言うがままに聞いてしまうという特徴もあるようです。
自分の意志が薄いので自分の気持ちを聞かれてもわからないということがよくあるようです。
そして本当は感情は心の中にあるのにそれを自分自身で理解ができないので、自覚がなくてもストレスがたまっているというということが多いようです。
失感情症系の場合も敏感系受動型と同じく対人関係のトラブルと自分の感情への理解不足により気づかないうちにストレスが溜まり精神的な問題として起きやすいように思われます。
失感情症(アレキシサイミア)系鈍感系受動型アスペルガーASDに起きやすいトラブル・問題の特徴
アレキシサイミアタイプ(失感情症)の鈍感系受動型アスペルガーは感情鈍麻なので自分で自分の感情を理解できずに自覚なしに知らず知らずのうちにストレスがたまり爆発してしまうという問題が起きやすいようです。
全般的な感情に鈍感なのも問題ですが、自分で自分にどれ程ストレスがかかっているのかを自覚できないのが特に大きな問題とされています。
普通の人であればどれほど自分にストレスがかかっているか理解をして対処できるところができないのだから確かに大きな問題と言えるでしょう。
受動型アスペルガーASD(自閉症スペクトラム)について最後にまとめ
- 男性に多い鈍感系受動型と女性に多い敏感系受動型
- 他人の感情に鈍感と他人の感情に敏感と自分の感情に鈍感
- 他人にストレスを最も与えるタイプと他人に最もストレスを与えられるタイプとストレスを自覚することができないタイプ
同じ受動型でもこれだけ様々な特徴があることを理解すると受動型アスペルガーASD(自閉症スペクトラム)についての理解が進むと思います。
それでは今回はこのあたりで終わりにしようと思います。
ご覧頂きありがとうございました。
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