尊大型アスペルガーASDとは何か?特徴や性格などを考察
尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDとは?
今回は尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDについて考察していきます。
尊大型は「横柄で横暴な態度で他人にストレスを与えやすい」という説明が簡素でわかりやすいと思われます
一般的には尊大型は孤立型の中の派生系の一分類とされていることが多いようです。
ですが私的には尊大型はどのタイプにもいると考えています。
その根拠をこれから説明していきたいと思います。
尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDは鈍感系アスペルガー・自閉症スペクトラムASDに含まれる説
私のアスペルガー・自閉症スペクトラムASD理解・考察の主軸の敏感系鈍感系理論というものがあります。
脳の感情分野に障害が起きると、他人の感情に対して敏感になりすぎるか鈍感になりすぎるかという症状が出るとされています。
以下をご覧ください。
扁桃体の発達の遅れは2タイプあります。
1つ目は、他人の感情を理解するよりも自分の感情が優先される発達タイプ。他人の内面を推測する働きが弱く、自分の感情を強く意識するので、共感性が乏しく、自分本位の思考や行動になりやすく、社会的なトラブルを招きやすい傾向があります。
2つ目は、自分の感情の理解よりも、他人の感情への理解が促進される発達タイプ。他人の目が気になって仕方がないため、自分の感情を表に出すことが少なくなります。社会的なトラブルは少ないですが、外界や他者に過敏であるためストレスがたまりやすい傾向があります。
子どもを伸ばす脳番地トレーニング P.36.37 より引用
https://xn--cckua2b8hndxev86xqpmjfi7zrcv4c80fusiy7ae00c.com/archives/372
そして尊大型は前者である鈍感系の中に含まれていると私は考えています。
鈍感系の中でも特に他人の感情理解の欠如したタイプが尊大型と呼ばれる人々だと思われます。
またその人の性格次第でもありますので鈍感系だから尊大型だということはありません。
鈍感系でも尊大型にならない普通の積極奇異型や受動型、孤立型の人も多くいます。
鈍感系積極奇異型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDの尊大型
他人の感情理解の欠如した鈍感系積極奇異型アスペルガーは典型的なわかりやすい横柄で迷惑で攻撃的な尊大型アスペルガータイプです。
誰彼構わず話しかけ尊大な態度をとっては相手を見下すという傾向が強いタイプです。
彼らはある意味裏表がないので攻撃的ながらもあまりカサンドラ加害者にはなりにくいのかとも感じます。
隠すまでもなく元から攻撃的な人間だと隠していないので他人からもどんな人かわかりやすいという理由からです。
鈍感系受動型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDの尊大型
鈍感系受動型アスペルガーは他人の感情には鈍感で不理解だけど形式上合わせることで社会適応していったタイプです。
他人の感情が理解できないがみんながそうしているからということで受動的に真似をすることで社会性を獲得していきます。
なので他人の感情を理解したような言動はできますが実際はわかっていなく形だけわかったふりをしているといえます。
そして外では他人に合わせて適応しているが無理をして他人に合わせているのでストレスが溜まっており家庭内では本来の横柄な尊大型アスペルガーの要素が出る典型的カサンドラ加害者に多いと思われるパターンです
外面と内面が大きく違うので結婚するまで気づかないと言われるのもこのタイプが一番多いでしょう。
鈍感系孤立型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDの尊大型
鈍感系孤立型アスペルガーは横柄で攻撃的なわかりやすい尊大型アスペルガーの典型だと思われます。
積極奇異型と似ていますがこちらは他人に自分から関わりに行こうとしないので孤独で横柄な人間と言った感じです。
横柄で尊大な言動から他人が離れていき孤立してしまうというのが特徴と言えます。
尊大型アスペルガーASD(鈍感系アスペルガー)はカサンドラ加害者になりやすい
もちろん敏感系でカサンドラ加害者になる人もいると思われますが割合で言えば鈍感系アスペルガーが多くを占めると考えられます。
他人の感情に鈍感で理解が欠如している、独自のこだわりを持つ価値観、闘争・論争好き、これらの要素が噛み合って他人へと攻撃的な人間になりやすいと考えられます。
では典型的な尊大型アスペルガーASD(鈍感系アスペルガー)のモデルを考えてみましょう。
先ほどの3要素を組み合わせると典型的な鈍感系アスペルガーの人物像が出来上がります。
アスペルガーにありがちな自分独自の価値観・こだわりを持ちそれを他人に強要し、更に他人の感情には鈍感で自分の感情に忠実に振る舞い、論争好きなので他人を批判し屈服させるのが好きだという厄介の塊のような人間が出来上がります。
典型的な迷惑なアスペルガー、嫌われるアスペルガー、カサンドラ加害者になりやすいアスペルガーと言えるでしょう。
もちろん鈍感系の中でも尊大型にならないタイプもいます。
私の考察では尊大型アスペルガーになる鈍感系アスペルガーとならない鈍感系アスペルガーとの違いは家庭環境にあると考えています。
家庭環境によって尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDになる?
鈍感系アスペルガーの中にも他人を攻撃したり迷惑をかけるような行為をしない人がいますが、彼らは比較的恵まれた環境で育ったのだと思われます。
逆に鈍感系の中でも攻撃的な人は劣悪な環境で育ったと考えられます。
その理由は彼らが普通に考えれば異常な価値観への執着をしているからです。
育っていく中で家庭環境、主に両親の歪んだ価値観を吸収して、とても偏った極端な価値観を正しいと思いこんでいて、それと相反する価値観は悪だという白黒思考でどんどん敵を攻撃して論破しなければならないという思考にとらわれているように見えます。
その結果歪んだ独自の価値観に拘り、他人への感情理解の欠如から論争好きな性質を抑えられずにあらゆる人につっかかり自分が正しいということを主張する迷惑なタイプの尊大型アスペルガーが出来上がると思われます。
伝統的なアスペルガー・自閉症スペクトラムASD分類法
私の最初の尊大型アスペルガーについての考察は積極奇異型、受動型、孤立型の中にある程度の確率で尊大型と呼ばれるタイプが存在するという説でしたが尊大型アスペルガーASDの異質性は他のアスペルガーASDとは別種のものを感じていました。
最近の他ブログでよく見かける積極奇異型、受動型、孤立型、尊大型というような横並びの種類であると考察されているのをよく見ますが私は違和感を覚えます。
しかも尊大型を取り扱っているのは新しいブログなどで、伝統的な先人の学者や大きなサイトでは触れておらずあくまで積極奇異型、受動型、孤立型、(大仰型)という分類法しかしていません。(尊大型は例えるならアダルトチルドレンのように正式な医学用語ではないもので主流医学では語られないものだと言えます)。
このような点からもやはり尊大型は積極奇異型、受動型、孤立型と並べるのは違うのではないかと思うようになりました。
では尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDとはどのように捉えればいいか
私なりの尊大型についての考え方を述べていきます。
鈍感系の中でも他人の感情への鈍感さから他人に迷惑をかけてしまう人がいます。
しかしこの場合はわざとやっているのではなく鈍感系の性質から感情の理解の欠如からやってしまっているに過ぎないと思われます。
つまり他人に迷惑をかけてしまうけどそれはアスペルガー・自閉症スペクトラムASDの特性だから仕方ないという考えです。
ところが尊大型の場合敢えて他人の感情を逆なでするような言動をしています。
この部分が他の鈍感系と異質さです。
非尊大型の鈍感系がアスペルガー・自閉症スペクトラムASDの特性でやってしまっていたことを敢えて自らの意思でやっているのが尊大型だと考えられます。
そしてこの異質性から昔のアスペルガー・自閉症スペクトラムASD研究者たちは尊大型を積極奇異型、受動型、孤立型、(大仰型)と同列に並べられることがなかったのではないかと私は考えています
では尊大型とは何なのでしょうか?
私は尊大型はアスペルガー・自閉症スペクトラムASDにある精神障害が併発したときに起こる現象なのではないかと考えています
そして尊大型には大きく分け2タイプが存在するのではないかと私は考えています。
ではそれぞれ考察していきます。
尊大型=アスペルガー×自己愛性パーソナリティ障害型
まずは自己愛性パーソナリティ障害について『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』より引用します。
誇大性(空想または行動における)、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
- 自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。
- 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
- 自分が“特別”であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係すべきだ、と信じている。
- 過剰な賛美を求める。
- 特権階級(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)。
- 対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
- 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
- しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
- 尊大で傲慢な行動、または態度。
また以下のような特徴での分類法もあるようです。
自己愛性パーソナリティ障害の症状
- 人より優れていると信じている
- 権力、成功、自己の魅力について空想を巡らす
- 業績や才能を誇張する
- 絶え間ない賛美と称賛を期待する
- 自分は特別であると信じており、その信念に従って行動する
- 人の感情や感覚を認識しそこなう
- 人が自分のアイデアや計画に従うことを期待する
- 人を利用する
- 劣っていると感じた人々に高慢な態度をとる
- 嫉妬されていると思い込む
- 他人を嫉妬する
- 多くの人間関係においてトラブルが見られる
- 非現実的な目標を定める
- 容易に傷つき、拒否されたと感じる
- 脆く崩れやすい自尊心を抱えている
- 感傷的にならず、冷淡な人物であるように見える
どうでしょうか?
かなり尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDの特徴と一致する点が多いのではないでしょうか。
特に尊大型との共通点として目立つのは尊大で傲慢な態度を取り劣っていると感じた人々に高慢な態度をとり他人の感情への共感力の欠如から冷淡に見えるという点はまさに尊大型という感じではないでしょうか。
尊大型アスペルガーはアスペルガー×自己愛性パーソナリティ障害であるという仮説
これで尊大型アスペルガーASDは自己愛性パーソナリティ障害との併発であるという可能性は高まったのではないかと思います。
私も今まで尊大型だけ他のタイプとはなにか異質さを感じていたのでこれでしっくり来たと思っています。
私が感じてきた異質さとは他のアスペルガーのタイプは人を傷つけることはあるがそれはアスペルガーゆえの特徴である意味仕方ない部分はあったにもかかわらず尊大型アスペルガーASDだけは自ら他人を攻撃することを楽しむ部分がありそこが他のアスペルガーと比べ異質に映ってきた点でした。
おそらくアスペルガーの特有の価値観へのこだわりの強さやコミュニケーション不得手な部分が自己愛性パーソナリティ障害を併発することで極端に目立つようになり他人に迷惑をかける尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDになるのだと思われます。
そして尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDの被害にあって困っている人はアスペルガーだけでなく自己愛性パーソナリティ障害の面から解決できないかという新たな希望が見えるのではないかと思います。
尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムと双極性障害の関係について考察
次に尊大型と関係があると思われるものに双極性障害の躁状態が挙げられます。
双極性障害の躁状態と言われても知らない方も多いと思うので以前書いた記事を添付しておくのでこちらを見てからだと話がわかりやすくなると思います。
https://xn--cckua2b8hndxev86xqpmjfi7zrcv4c80fusiy7ae00c.com/archives/1887
双極性障害の躁状態とは
先程の記事の引用と重なりますが重要なので引用します。
躁状態はこんな病気
病的なまでに気分が高揚して、開放的になったり怒りっぽくなったりした状態のことです。尊大な振る舞いをする、延々しゃべり続ける、考えが次々飛躍する、注意が散漫になる、活発に活動し寝なくても平気なほどになる、焦燥感が目立つ、といった様子もみられ、ギャンブルや買い物などの浪費が盛んになるといった問題行動を伴うこともあります。症状はあるものの、社会的機能に著しく障害をきたすほどでない場合は軽躁状態といいます。
多くの場合、うつ状態と躁状態とが交代でみられる双極性障害(躁うつ病)の病状の一つとして現れます。他者に攻撃的となることもあり、周囲への影響も大きいものです。本人にとっても単純に気分爽快というわけではなく、情動の不安定さがかなり目立つので、早めに精神科などの専門家に相談し、治療につなぐ必要があります。
- 怒りっぽくなる
- 尊大な振る舞いをする
- 延々しゃべり続ける
- 焦燥感が目立つ
これらは尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDと重なる部分が多いと思われます。
よって何かしらのアスペルガーと双極性障害が併発して尊大な振る舞いをする尊大型になっている可能性はあるのではないかと感じます。
自己愛性パーソナリティ障害による尊大型アスペルガーか双極性障害による尊大型アスペルガーか見分け方
病気が違えば対処法も変わってきます。
なので自己愛性パーソナリティ障害による尊大型アスペルガーなのか双極性障害による尊大型アスペルガーなのかと言うのが重要になってきます。
自己愛性パーソナリティ障害は症状が一定しているが双極性障害は上下の波がある
最もわかりやすい違いは自己愛性パーソナリティ障害は名前のとおり性格の一部なので落ち込むことはあっても異常に長引くことは少ないと思われます。
それに対して双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す病気と言われており、数週間から数ヶ月の躁状態が続いたあと数ヶ月のうつ状態が続くと言われています。
なのでこの2つの違いが最もわかりやすいと思われます。
※ただし例外あり
非常にわかりやすい2つの差なのですが稀に双極性障害の中に躁状態だけを発病する躁病というものがあります。
この場合うつ状態がないので自己愛性パーソナリティ障害なのか双極性障害なのかの判断が難しいと思われます。
そして意外に尊大型には躁病が多いのではないかと今のところ感じています。
自己愛性パーソナリティ障害系尊大型アスペルガーなのか双極性障害系尊大型アスペルガーなのかの判断は難しい
ここまで書いたとおり素人が自己愛性パーソナリティ障害系尊大型アスペルガーなのか双極性障害系尊大型アスペルガーなのかの判断はかなり難しいと思います。
なのでやはり専門家の医療機関で診てもらうのが一番だと思いますがどちらの尊大型も病院を勧めると「俺を病人扱いするのか」と逆上するパターンが多く診察もままならないという事が多いのがまた尊大型の厄介なところだと思います。
なぜおとなしく言うことを聞いてくれないのか尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDの心理をこちらで分析しています。
https://xn--cckua2b8hndxev86xqpmjfi7zrcv4c80fusiy7ae00c.com/archives/2092
双極性障害系尊大型の場合はうつ状態になった時には比較的おとなしく人の話を聞いてくれるので双極性障害っていうやつかもしれないよと通院を促すことは他のタイプに比べれば比較的容易ではあると思います。
尊大型アスペルガー・自閉症スペクトラムASDは改善するのか?
自己愛性パーソナリティ障害の場合は正確の一部として尊大型アスペルガーASDになっているのでその改善は困難に思えます。
今まで生きてきた中で信じてきた信念体系を変えないといけないわけですから簡単なことではないと思います。
前述の通りそもそも病院に通ってくれるかという問題も大きいです。
「俺を病人扱いするのか」と激情してどうしようもなくて、よく言われるようにモラハラは離婚に限ると言われてしまうのだと思います。
対して双極性障害の場合は薬物療法がメインなので薬を飲めば改善することは十分考えられます。
ただこちらも病院に行ってくれるかが問題となります。
特に双極性障害の躁状態では自分が正しく他は全て間違っているというような思考になりやすいので病院にいってみたらなどというとかなり激昂すると思われます。
躁状態とうつ状態のある通常の双極性障害であればうつ状態の時に辛いだろうから病院に行ってみればと言えば素直に行く可能性が高いですが、躁状態しかない躁病の人の場合は病院に行ってもらうことが困難でこちらもまたモラハラは離婚に限ると言われてしまう状態になると思われます。
自己愛性パーソナリティ障害タイプも双極性障害タイプも本人が病気をどれだけ受け入れるかが尊大型アスペルガーASDの改善を左右すると思われます。
それでは長文になりましたので今回はこのあたりで終わりにさせていただきます。
読んでいただきありがとうございました。